Google広告では「カスタマーマッチ」と呼ばれるものがあります。
こちらを利用することで、ターゲットとするユーザー層へ対してより適切な訴求が可能となり、広告の費用対効果を大幅に高めることが可能となります。
しかしながら、その内容については詳しく知らない、使う場合のメリットや注意点を把握していないという方は、意外と多いかもしれません。
本記事は、そんなカスタマーマッチに関して、その詳しい内容から活用方法と注意点について、それぞれ解説する内容となっています。
一読いただければ、Google広告における本機能について、理解を深めていただけることが可能ですので、ぜひ最後までご覧ください。
Google広告のカスタマーマッチとは?
それでは、カスタマーマットとはどのようなものなのでしょうか。
内容を端的に表すとすれば、「顧客に関するデータを元にターゲットを明確にした上で、適切な広告を配信できる」ということです。
その際、顧客に関するデータとは主に、メールアドレスや電話番号といったものを指します。。
それでは、より具体的な内容を、以下の4点に分けてそれぞれ詳しく解説していきます。
顧客情報を活用した広告配信(電話番号やメールアドレス)
こちらは、前述したように「顧客に関するデータを元にターゲットを明確にした上で、適切な広告を配信できる」ものとなります。
そして、データについては主に顧客の電話番号やメールアドレスが使用されます。
つまり、企業などの広告配信元が所有する顧客データを元に配信を行なうことができますので、より適切なターゲティングが可能となるのです。
そのため、新規顧客を取り込み販路を拡大させたい場合や、商品に対するターゲットの特徴が明確ではないといったケースにおいて、大きな効果を発揮するでしょう。
情報については、前述した2つだけではなく、住所や名前、住んでいる国などからもリスト化することが可能です。
カスタマーマッチの仕組み
具体的な仕組みについては、大きく以下の手順に分けることができます。
- 顧客の分類
- Google広告にデータをアップロード
- 顧客データをGoogleアカウントと照合
- デバイス、チャネルごとにターゲットリストを作成
- 類似ユーザーリストを元にターゲティング
このように、顧客の分類時に企業が保有するデータと、顧客自身がGoogleに登録しているアカウント情報を照合するため、非常に正確で精度の高いリストが作成可能となるのです。
一例として、「商品を購入したユーザー」や「クリックしたが購入していないユーザー」を一纏めにしてターゲティングするのではなく、分割してリスティングすることができます。
さらに、商品やサービスを使用し続けている「ヘビーユーザー」だけに絞った広告を配信できるなど、よりピンポイントで適切な配信が可能となるのです。
カスタマーマッチの設定手順
設定の手順については、まず広告の運用プランを考えなければいけません。
なぜなら、プランによっては企業が保有する顧客データは適切なのか、目標達成のためにはどの程度の数のデータがいるのかを把握しなければいけないからです。
スタート時点で間違えた方向へ進んでしまうと、想定した結果が出ないという場合もありますので、ここには十分な時間を使い検討しましょう。
そして、実際の手順については、大まかに以下の工程を経ることで設定が可能となります。
- 顧客リストの作成
- リストをアップロード
- リストとキャンペーンを紐付ける
リストについては、Googleがテンプレートを配布しているCSV形式にて作成します。
この時、個人情報を扱うことになりますので、必ず内容についてはハッシュ化しておくようにしましょう。
そして、オーディエンスマネージャー内にある顧客リストから、任意の名前を作成した上で、データの種類を選択しアップロードして作成が完了します。
最終的に、作成したリストをキャンペーンに提供させることで、設定の全てが完了することとなります。
この手順はリマーケティングにおけるリスト作成と同様ですので、慣れている方であれば大きく戸惑うこと無く進めることができるでしょう。
類似ユーザーリストへの配信が可能
設定時に作成したリストは、類似したユーザーごとに自動作成させることができます。
具体的には、以下のような顧客同士をグループ化させることが可能なのです。
- 興味・関心が近い
- 購買意欲がある対象が近い
- 行動パターンが近い
- 属性が近い
このように、ターゲットとして想定する層へピンポイントで訴求することができますので、通常の配信と比較して高い効果が現れることが期待できます。
さらに、購入リピート率が高い顧客と近しいグループに属する新規ユーザーをリスト化することで、より効率的な販路拡大が実現できるのです。
Google広告のカスタマーマッチの注意点
ここまで、カスタマーマッチに関する基本的な内容から、その仕組みについて解説してきました。
一見すると、効率的にターゲットと想定する顧客へ広告を適切に配信できることから、多くのメリットがあると感じるでしょう。
しかし、その使用については注意点がいくつか存在しています。
こちらではその内容について、以下の4点を解説していきます。
利用条件がある
こちらは全ての企業、ユーザーが自由に使用できるということではなく、いくつかの条件を満たしてなければいけません。
それらはGoogleが定めた内容となっており、代表的なものは以下のようなものがあげられます。
- ポリシーを遵守してきた実績があること
- 支払いに関する問題が無いこと
- Google広告を90日以上利用した実績があること
- 利用金額が全期間で5万ドルを超えていること(その他通貨の場合は米ドルへ換算)
さらに、上記全ての条件を満たしている場合でも、Googleのアカウント担当者に対して利用をリクエストしなければいけません。
また、この条件については随時内容が更新されていきますので、最新の状況については各自Googleの発信を確認するようにしましょう。
このように便利ではありますがですが、利用にあたっては一定の条件が定められていることを把握しなければいけません。
運用には1,000件以上のデータが必須
利用するためには、リスト化するための顧客データがいることはお分かりいただけたかと思います。
しかし、その数については最低1,000件以上のデータが必須となる点は注意しなければいけません。
中途半端な人数では、そもそもこの内容を十分に活用することができませんので、この人数制限は妥当と言えるでしょう。
また注意しなければいけないポイントは、もし1,000人分の顧客データを保有していたとしても、全ての内容がGoogleアカウントと照合するとは限りません。
つまり、人数ではなく「件数」であるということも、覚えておきましょう。
個人情報保護法に基づき運用する
この機能は多くの顧客の個人情報を取り扱うことで、その効果を始めて発揮するものです。
そのため、当然のことですが個人情報の取り扱いには十分注意を払わなければなりません。
原則として、日本の法律で定められている『個人情報の保護に関する法律』に沿った運用を徹底しましょう。
この法律は2022年4月に内容が改正されており、以前と比較してより一層厳しいものとなっています。
これまで、法人に対する処罰は「6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰則」でしたが、改正以降は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」となっています。
また、万が一運用の際に多くの個人情報が漏洩した場合には、社会的信用という側面からも大きなダメージを負うことになるでしょう。
顧客情報はハッシュ化してアップロードする
前述した個人情報の取り扱いに対する対策としては、情報をハッシュ化することをおすすめします。
ハッシュ化とは「暗号化」のことであり、元データをランダムな文字列へと変換する作業です。
仮に、企業内部の部署にて広告を運用するのではなく、代理店へ委託している場合、リスト化した個人情報をそのまま手渡すことは難しいでしょう。
その差異、企業側で情報をハッシュ化しておき、そのデータを手渡すことで情報漏洩を防止するのです。
この作業は自社管理においても、万が一の事態に備えて行っておくことが望ましいでしょう。
Google広告のカスタマーマッチの活用方法
それでは、実際に活用方法について解説していきましょう。
有効に活用することで非常に大きな効果が期待できますが、利用できる配信については限定されています。
そのため、それらの配信方法にそった活用方法をそれぞれ解説していきます。
カスタマーマッチが利用できる配信
具体的に、利用できる配信は以下の4つがあげられます。
- Google広告/ショッピング広告
- Gmail広告
- You Tube広告
- ディスプレイ広告
このように、利用できる範囲が限られているとは言え、現在のWeb広告における基本的な範囲は網羅していると言ってもいいでしょう。
カスタマーマッチの活用方法
それでは、前述した4つの配信方法について、それぞれにおける活用方法を解説していきます。
配信先によってそれぞれ特徴がありますので、想定するターゲットへの訴求をより確実なものにするためには、この部分もよく検討しましょう。
Google広告/ショッピング広告
こちらは、通常のGoogle検索広告と言われるものです。
ここでは新規顧客の取り込みから、既存顧客それぞれを対象として、適切な広告内容を配信することができます。
一例として、新規顧客に対しては「お試しプラン」や「問い合わせフォーム」を配信し、既存顧客に対しては「ランディングページ」や「ショップサイト」へとアクセスさせることができます。
さらに、リストの情報に基づいたライフステージの変化も考慮して、入学や就職、妊娠から子育てといったイベントに応じた内容の変化も可能となります。
Gmailの広告
こちらでは商品の購入や、サービスに申し込んでいるなど、既に自社の顧客である層や、それらに類似しているターゲットに対して、Gmail上に広告を配信することができます。
つまり、購入する見込みの高い層に対して直接アプローチできますので、非常に高い効果が期待できるということです。
こちらは受信トレイ上に表示されることから、顧客が入力する情報が多い業種において、より高い効果を発揮するでしょう。
YouTube
こちらでは広告内容が動画になるので、より深く訴求したい内容を伝えることができます。
商品のこだわりポイントやブランドの歩み、サービスの内容を具体的に訴求できますので、既存ユーザーからその類似する層に対し、新商品やサービスの効果的な紹介ができるでしょう。
ディスプレイ広告
こちらについては、2020年のアップデートによって上記3つに追加する形で配信できるようになりました。
「画像とテキスト」や「動画とテキスト」といった組み合わせにて、バナー表示させることができます。
そのため幅広い表現ができる上に視認性も高く、商品やサービスの内容をより具体的に訴求することができます。
一般的には、既存顧客に類似する潜在層へのアプローチが効果的と言われています。
まとめ
Google広告における「カスタマーマッチ」について、その基本的な内容と活用方法、さらには注意点について解説してきました。
通常の広告配信以上の効率性と効果を上げることが期待できますが、個人情報を取り扱うという特性上、注意しなければいけない点もあります。
本記事の内容を参考に、適切な運用へと繋げていただけますと幸いです。